2005/2/17 掲載

  このシリーズでは、既に日本版401Kを導入した企業の体験談を取材し、導入の過程から導入後の業務や対応等の苦労したところ、従業員としての感想など、本音を 語ってもらいました。このシリーズを通して現場の最前線からの情報を皆様にお伝えしたいと思います。(会社名・氏名等の公表はプライバシーの観点から控えさせて頂きました。)

<第1回取材・A社> 取材日 2005年2月1日
 
〔会社データ〕  
 創業: 31年
 業種: IT関連
 平均年齢: 29歳
 従業員数: 265名
 
IT関係中堅企業。創業より苦労を重ねながらも独立系を貫き、時代の先端技術を活かし成長を続けてきている。社長を中心に創業メンバーが会社を引っ張り、株式公開も視野に入れ若手の育成にも大いに注力している。
 
〔ヒアリング〕
「会社」サイドは担当役員に、「従業員」サイドは従業員の一人にヒアリングを行いました。

 
「日本版401Kの導入動機は?」
 
 株式公開を視野に入れており、退職給付会計の導入もあり日本版401Kを研究した。
2012年に廃止される適格年金の受け皿を探していた。
保険会社に当社の企業年金について詳しく聞いてみると「運用利回りが下がり掛け金が増えると」いわれたこと。
   
「日本版401Kを導入する前に自社の退職金制度を理解していましたか?」
 
 多少は理解していたつもりだったが、適格年金を採用しており、毎月の掛金を支払っていたので自社の制度は大丈夫だと思い込んでいた。
   
 自分も含めてほとんど理解していなかったのではないか。会社を辞める時にもらえるものだと漠然と思い込んでいたし、今、会社を辞めるつもりもないからほとんど考えていなかった。
   
「自分の退職金を当てにしていますか」
 
 もちろん当てにしている。家を買ったので特に当てにしている。
   
 大変大事だと思っている。老後のこともあり退職金は本当に大切だと考えているし、妻もとても関心をもっている。
   
「自分の退職金がいくらになるか計算したことはありますか?」
 
 ある。会社の制度設計でも必要だが自分が理解していないと社員に説明できない。
   
 なかった。今すぐ退職金を当てにしている訳ではないし、人事部に聞いて余計な詮索をされるのはたまらない。
   
「日本版401Kの説明を初めて聞いた時の感想は?」
 
 これは大変だ、今まで定年退職者が出ていなかったし、会社は大切だが自分の退職金はどうなるのだろう。
退職が近い人(10年以内)には、何か代替措置が必要だ、どうしよう。
   
 何のことか全然分らなかった。結局今まで会社がやってくれたことを自分でやるということか。
   
「ところで、会社の退職金制度の前に日本の公的制度、つまり退職後の年金について、どの程度知っていたか?」
 
 厚生年金の支払いの件もあり、多少は知識があったが、具体的に自分のことになると、いくら、いつからもらえるのかあまり関心がなかった。
 
 全く認識していなかった。会社からの毎月の給与明細書に「何だか引かれている」くらいの感じだった。それも会社が半分負担しているとは、皆知らなかったようだ。
マスコミや国会で騒いでいるように、「どうせもらえるかどうか分からない」のだから真剣に考えていない、という声を多く聞いた。
 
 今回は3回シリーズの第1回です。次回は、導入前後の運営管理機関と金融機関の投資教育と金融商品説明の内容にスポットを当てます。最終回では、導入前後の社員の意識と継続教育について、詳しく現場からレポートします。
 
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