2005/3/17 掲載

  このシリーズでは、既に日本版401kを導入した企業の体験談を取材し、導入の過程から導入後の業務や対応等の苦労したところ、従業員としての感想など、本音を語ってもらいました。今回は3回シリーズの第2回です。このシリーズを通して現場の最前線からの情報を皆様にお伝えしたいと思います。
(会社名・氏名等の公表はプライバシーの観点から控えさせて頂きました。)

<第2回取材・A社> 取材日 2005年3月2日
 
〔会社データ〕  
 創業: 31年
 業種: IT関連
 平均年齢: 29歳
 従業員数: 265名
 
IT関係中堅企業。創業より苦労を重ねながらも独立系を貫き、時代の先端技術を活かし成長を続けてきている。社長を中心に創業メンバーが会社を引っ張り、株式公開も視野に入れ若手の育成にも大いに注力している。
 
〔ヒアリング〕
「会社」サイドは担当役員に、「従業員」サイドは従業員の一人にヒアリングを行いました。

 
「日本版401kの導入にあたり何が一番心配でしたか?」
 
 当社としては日本版401kの実務経験がなく、金融機関の勧めるままに全部を任せたくはなかった。 また、当社の社員に「運用」や「自己責任」等を説明して理解が得られるかが心配だった。
   
 「急に自己責任での運用と言われても何をどうしたらいいかわからない」という意見が従業員の中では多かった。他には「今のままでいいのに何故変える必要があるのか」という疑問を持つ人も多かった。
   
「運営管理機関の投資教育について、ずばり最初の印象は?」
 
  形式的に感じた。証券会社に行ったこともない人に対して金融の専門用語で話されてもわからない。また、今まで定期や保険などしか扱っていない金融機関が変動商品の説明が何故出来るのか不思議に感じた。
   
 導入前説明会出席が社命であったため出席したが、「説明内容が難しくてよくわからない」という声が多く聞かれた。「ポートフォリオ」や「ファンド」など初めて聞く用語がたくさんありわかりにくいと感じた。
「自分はどうしたらよいのか?」という点を聞きたかったが、「それには答えられません」という返事には正直がっかりした。また「『わからないところはコールセンターにお問い合わせ下さい。』と言われても会ったこともない人に電話で自分の退職金やお金の相談なんかできない。」という声も多く聞かれた。
   
「運営管理機関の投資教育や金融機関の金融商品説明に何を望みますか?」
 
 一般論ではなく、自社の制度の内容についてわかり易く説明して欲しい。
定型のパンフレットを配って説明するだけでは親しみは湧かない。今後、長い付き合いになるのだからもっと工夫して欲しい。
   
 導入して2年が経過したが「入れ替え(スイッチング)」を一度も行っていない人がほとんどのようだ。導入後の教育活動を継続的に実施して欲しい。
運用は「自己責任が原則」ということは皆理解しているようだ。しかしあまりにも情報が少ない。判断は自分で行うとしても適時・適切な情報提供をして欲しい。
 
 今回は3回シリーズの第2回目でした。日本版401kが導入されてからの日経平均株価は低位置で推移していましたが、今後株価の変動と伴に個人ごとの運用に格差が発生して参ります。結果論ではなく、投資教育をしっかり行った企業とそうでない企業とでは従業員の意識が大きく異なり、結果として資産運用にも差が生じてきます。「投資教育は事業主の責務」であることを再認識してください。
 
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