2005/4/21 掲載

  このシリーズでは、既に日本版401kを導入した企業の体験談を取材し、導入の過程から導入後の業務や対応等の苦労したところ、従業員としての感想など、本音を語ってもらいました。今回は3回シリーズの第3回(最終回)です。このシリーズを通して現場の最前線からの情報を皆様にお伝えしてきました。このレポートが皆様の会社の企業年金を考えて頂く参考になれば幸いです。
(会社名・氏名等の公表はプライバシーの観点から控えさせて頂きました。)

<第3回取材・A社> 取材日 2005年4月6日
 
〔会社データ〕  
 創業: 31年
 業種: IT関連
 平均年齢: 29歳
 従業員数: 265名
 
IT関係中堅企業。創業より苦労を重ねながらも独立系を貫き、時代の先端技術を活かし成長を続けてきている。社長を中心に創業メンバーが会社を引っ張り、株式公開も視野に入れ若手の育成にも大いに注力している。
 
〔ヒアリング〕
「会社」サイドは担当役員に、「従業員」サイドは従業員の一人にヒアリングを行いました。
 
〔ヒアリングのポイント〕
今回(最終回)は、「日本版401k導入前後の社員の意識と継続教育について」ポイントをおいてヒアリングを行った。

 
「ずばり、日本版401kの導入前後の社員の方の動向はいかがでしたか?」
 
 導入した時点の日経平均株価は11,500円前後、その後7,800円まで下がり、現在ようやく元に戻った状態ですが、日経平均株価が下がる過程で社員から「どうなってしまうのか」という不安の声が多くなった。しかしe−ラーニング形式や説明会等を交えて自社なりの社員教育を行った結果、社員の漠然とした不安感が消え運用商品の選択にも変化が表れてきた。投資教育実施後の経過が以下の表である。
  <従業員運用商品選択パーセンテージ推移表>
   現在、平成17年3月末では日経平均株価も11,000円台となり、日経平均株価が下がる過程でドルコスト平均法によるトータルコストも下がっており、今後の値上がりが資産の純増となる可能性が出てきたことと、e−ラーニングによる投資教育の成果が表れてきており継続教育の重要性を改めて認識できた。
   
 日本版401kを会社が導入してすぐ日経平均株価が下がり始めた為、社員の間に不安が広がり、運用に対して熱が冷めてきたように見られた。1年後から継続教育が始まり、年金や投資についてのe−ラーニング学習を始めた。各自のパソコンで自分の好きな時間に学習ができ楽しみながら学べたように思う。最初は興味がないといっていた同僚も次第に学習を始め、学習の結果、預金から投資信託へ移行するものも増えてきた。日経平均株価が値上がり始めると皆の感心も高くなってきたようだ。
   
「日本版401kを導入して3年が経ちました。率直な感想は?」
 
 導入目的は会社の都合もあり皆が納得してくれるかどうかが心配だったが、最近では、経済紙を読んでいる従業員も増え経済についての話題が多くなるなど関心が高まってきているように思う。ITという業種柄、技術者が多いという特殊な環境の中401kを導入したが従業員たちも経済への興味が広がり世の中を見る目が変化してきたようだ。
   
 はじめは金融の専門用語が理解しにくく、あまり真剣に取り組んでいるとは言えなかったが、会社の投資教育が2年目からスタートしてくると次第に理解も深まり、また株価も戻りに転じてきて「自己責任の運用」ということが実感として理解できるようになった。今後、株価が上昇し資産が増えたらどうしていけばいいのか等の疑問もあるので、多面的に継続教育を実施して欲しい。
 
 今回を持ちまして「日本版401k導入企業・労使双方 本音で語る」シリーズを終わります。取材にご協力頂きまして誠にありがとうございました。
 
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