2005/6/16 掲載
 社労士の西田です。「知っておくと役に立つ生活情報」をテーマにいろいろな情報を提供していくということでシリーズがスタートしました。2回目はファイナンシャル・プランナー(FP)の大内さんに自己紹介を兼ねて、お話をお聞きします。

 今回は最近の事例から「サラリーマンの方が家業を引継ぐ時に考えていただきたい事」です。

西田:
社労士が事業主さんから受ける相談事としては、従業員に対する人事・労務関係が中心となりますが、時には事業承継といった経営に関するようなことについても話題となることがあります。
事業承継については引き渡す側も引き継ぐ側もそれぞれ大変なことですが、特に多額の負債を抱えている場合等は引き継ぐ側で腰が引けてしまうようです。
そこで大内さんに事業承継における具体的なお話をいただきたいのですが、いかがでしょうか。

大内:
FPの大内です。前回の冒頭に、企業研修のセミナーの中で従業員の方から様々な相談をお受けしていますという事をお話しましたが、その中で40歳代の方から、「早期退職制度を利用して父親の事業を継ぎたい」と言う相談がありました。
お話を聞いてみると、ご父君が行っている事業の中に、大変興味のあるものがあり、その事業を自分がやってみたいということでした。
この場合2つ解決しなくてはならないことがあります。
1つは、ご自身の退職に絡む社会保険・退職金等の手続きに関するものですが、これらは次回以降西田さんを交え話していこうと考えています。
もう1つは、事業をどのような形で引継ぐかということです。
こちらは、中小企業の事業活性化を専門に行っている法務・税務グループが私のブレーンとしておりますので、(相談者に参加していただき)チームを作りました。
一番重要なことはご父君のご理解をいただくことでしたが、ご父君も息子さんに事業の一部を引継がせたいと言うお気持ちがありましたので、積極的にチームに加わっていただきました。
前置きが長くなりましたが、結論は相談者が引継ぎたい事業を分社化しました。
物的新設分割により設立した会社の株式を100%父親の会社に割当、子会社として事業を引継ぎました。
第一回の決算を行った後に、相談者は退職金により株式を買い取り、独立企業として現在事業を営んでいらっしゃいます。

※ 図を参照。


西田:

この事例の場合は、負債等はどうなったのですか?


大内:
子会社は、債務について親会社と重畳的債務引受契約を結びましたが、継いだ事業にかかわる負債を引継ぐだけで済みました。
ご理解いただきたいことは、案件ごとに事業主の望む解決策は異なりますので、どのような場合も当てはまるわけではないということです。
債務超過で伸ばしたい事業が継続出来ないというケースや役員あるいは従業員が事業の一部を引き取りたいといったケースでは解決手法は異なります。

西田:

事業承継は、相続以上に親の思いを継ぐわけですから、債務超過の事業を引継ぐことは出来ないと、簡単に相続放棄するのではなく、いろいろ検討してみることが必要ですね!


大内:
見方を変えますと、この事業の分社化は、定年制の延長に伴う「新しい働き方」にも応用できます。従来のような、会社が高齢従業員の受け皿として子会社を作るのでは事業がうまくいくはずはありません。従業員が企業の合意の下、一部事業を子会社として分離し、株主として資本参加し、その子会社を退社する時は、株式を事業の成果により売却できると言う仕組みを作ると、柔軟な高齢者雇用システムを作ることができます。

西田:

60〜65歳の間の働き方をどうするかは大きな課題ですので、社労士の立場から、大変興味があります。

 

このシリーズは今後も継続いたします。次回号は「60〜65歳の間の働き方の違いによる社会保険の考え方」についてご紹介する予定です。

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