2005/8/18 掲載
 社労士の西田です。このシリーズも4回目になりましたが、過去の記事をお読みになった方から、いろいろと問い合わせや相談がきております。
 相談事はプライバシー保護の観点からここに載せることはできませんが、問い合わせについてはこの場を借りてご説明したいと思います。
 お問い合わせのひとつに、「離婚した場合の厚生年金受給」はどうなるのかというものがありましたのでご説明したいと思います。

西田:

お問い合わせの「離婚した場合の厚生年金受給権分割制度」については、2007年4月から施行されますが、これについては、社労士よりFPの方がわかりやすく説明できるのではないかということで、FPの大内さんと話し合ってみたいと思います。


大内:
西田さんがおっしゃる意味は、制度解釈は専門家である社労士のほうが良いが、実際の生活が絡んだ話なのでFPのほうが分かり易く説明できると言うことでしょう。たしかに、セミナーや相談会を開きますと、開催の趣旨に係らず、必ずご質問があります。
まず理解していただきたい点は、厚生年金受給権は一種の「財産」であるということです。こう考えるとご夫婦で築き上げた財産はご夫婦共有のものですので、厚生年金も婚姻関係期間分については夫婦共有のものということになります。

西田:

そうですね、あくまでも厚生年金加入期間中の婚姻関係にあった期間分が離婚の際に分割の対象になるという事が大前提ですね。ですから夫婦ともに自営業者で国民年金の加入期間のみであれば、今回の離婚分割の対象者にはなりません。


大内:
2007年4月から施行される制度の特徴は、この権利が明確になったことと、そのために話合いや裁判で分割に合意すると、社会保険庁がそれぞれの取り分をそれぞれの口座に振り込んでくれるようになるという点です。現在でも離婚に際しては、この厚生年金の受給分に関しては話合いが行われますがなかなかまとまりません。男性が自分の権利だと主張したりしてなかなか首を縦に振ってくれないとか、一旦決まったものの男性がきちんと女性に送金してくれないとか、いろいろと相談を受けます。

西田:

やはり、離婚の際にはもめるものなのですね!
現行法では年金の受給権者はあくまでも夫側にありますので、せっかく年金分割ができてもその後この夫が亡くなってしまうと年金受給権が消滅し、妻の年金も消えてしまいます。
その点今回の改正では妻に分割された年金はあくまでも妻のものなので、元夫が亡くなっても引き続き年金を受け取ることができます。
ここで付け加えますと、今の厚生年金制度は基礎年金部分(国民年金相当)と厚生年金部分の二階建てですので、ご夫婦それぞれの基礎年金部分は分割対象ではありません。あくまでも厚生年金部分が対象です。更に、奥様が結婚後も働いていた(厚生年金加入期間)場合にはその間の奥様の厚生年金部分も分割の対象になります。


大内:
ここで注意していただきたいのは、この制度は2007年4月から施行されますが、話合いなしで自動的に分割されるようになるのは2008年4月からであり、対象期間も2008年4月以降の婚姻関係にあった期間という事です。
ですから、2008年4月前に離婚する場合は勿論、2008年以降に離婚する場合でも、2008年4月前の厚生年金部分は従来どおり話合いか裁判による分割協議になります。

西田:

女性の場合は、学校を出てから社会で働き、その後結婚して、専業主婦になった、働きつづける、専業主婦になったが再就業した、というように男性に比べ年金制度の加入歴が複雑な場合が多いので、ご自分の年金加入歴をきちんと把握しておいていただきたいですね。


大内:
はい、その通りです!この制度は簡単に言えば、婚姻関係であった期間の年金受給分については夫婦分を合算して2で割るというものですから、結婚前の年金加入期間や離婚後の年金加入期間はどうなるのかを、それぞれが理解しておいて欲しいですね。
ここで西田さんの協力を得て、簡単な説明図を作ってみましょう。

ケース・スタディ)
現在(2005年)離婚協議中。
夫は昭和25年生まれ、23歳で就職(学生時代は国民年金保険料を払っていない)、
 その後同じ会社で働きつづけている(30歳で結婚)。
妻は昭和29年生まれ、20歳で就職、26歳で結婚、結婚後専業主婦だったが、
 40歳からフルタイムで再度働き始めた。


図で分かりますように、分割の対象は結婚期間中のそれぞれの厚生年金部分です。
なんでもかんでも2分割するのではないことを理解していただきたいですね。


西田:

その通りですね。
ところで、女性特有の複雑な年金加入履歴を考えるうえで重要なこととして、
国民年金第3号被保険者(会社員の夫の妻で専業主婦の方など)の未納期間特例届出が本年4月から可能になっています。
離婚分割と直接関連するわけではありませんが、年金受給資格の取得や受給額増額に影響しますので、次回取り上げてみようと思います。

ご相談があれば私と西田さんでお答えして参りますのでお気軽にご質問下さい。

 

このシリーズは今後も継続いたします。次回号は「国民年金第3号被保険者(会社員の夫の妻で専業主婦の方など)の未納期間特例届出」についてご紹介する予定です。

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