2005/9/15 掲載
 FPの大内です。前回の「離婚と年金」の話題は問い合わせも多くいただいたテーマでありましたが、世間でもその影響といえそうな新聞報道が流れました。
 離婚件数がそれまでの増加傾向から平成15年・16年と減少に転じ、特に16年の離婚件数は12年の水準にまで逆戻りしたということです。女性が離婚後の就職難のために思いとどまるだけでなく、平成19年の年金離婚分割待ちのための先延ばしなのではないかという記事でした。平成19年の離婚件数が再び増加することがあればまた話題になるかもしれません。

 さて、今回は主として専業主婦の皆さんの国民年金加入届出忘れの救済について、社労士の西田さんとお話をしたいと思います。

大内:
前回の年金分割の話題は「離婚」という夫婦間の亀裂が前提の内容でありましたが、今回のテーマは夫婦ともにハッピーになれそうな内容のようですね。

西田:

まず今回のテーマとなる国民年金第3号被保険者について簡単にご説明します。
国民年金はわが国の公的年金制度の土台となるもので、「基礎年金」ともよばれ20歳から60歳までの国内に住所を有する人に加入が義務付けられています。
加入者(被保険者)は第1号・2号・3号と種別され、厚生年金や共済年金などの勤労者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者を「第3号被保険者」に種別しています。一般的には「専業主婦」とよばれる女性がこの「第3号・・・」の層の主をなしていますが、加入の届出忘れによる年金未納期間の発生がたびたび問題となっていました。


大内:
年金の未納期間がなぜ発生するのですか?

西田:

第1号被保険者とよばれる自営業者・無職・学生等や第2号被保険者とよばれる勤め人の方々は、自らあるいは給与天引きなどで保険料を支払っています。
ところが第3号被保険者は、第2号被保険者全体で第3号被保険者の保険料も支払っていることとなっているため、加入届出だけで済み自分で保険料を払っていません。

60歳になるまで勤めることもなく主婦業だけをしていれば問題になることもないでしょうが、パートのつもりで勤めた先で厚生年金の加入者となっていてその結果第2号被保険者になってしまうと、退職後「専業主婦」にもどれば第2号被保険者の資格を失い、改めて第3号被保険者の届出をしなければなりません。
これを怠ったため国民年金のどの種別にも属さないという年金加入の空白期間ができてしまい、将来受取ることができたはずの老齢基礎年金の額が減額されたり、最悪無年金者となる危険性がありました。


大内:
今までは救済がなかったのですか?

西田:
届出漏れに気づいた場合は2年以内の期間であれば遡って納付済み期間とすることができましたが、それ以前の未納期間を納付済み期間とすることはできませんでした。
また平成7年から平成9年の2年間、届出だけすればそれまでの第3号被保険者の未納期間を納付済み期間にする救済策も行なわれましたが、将来の届出忘れは従来通りであったため再び未納期間を発生させる人が現れてしまいました。
そもそも第2号被保険者の届出は勤め先で行なわれているのに、その被扶養配偶者である第3号被保険者の届出は市町村窓口に分けられていることが、届出漏れに気づけない要因の一つとして、平成14年4月からは第2号被保険者の勤め先で第3号被保険者の届出手続きもできるようになりましたので、その後の届出漏れは減りましたが14年より前の部分は未解決でありました。

大内:
今回の救済策はこれまでとどうちがうのでしょう?

西田:
今回の改正年金法では国民年金第3号被保険者の未納期間特例届出として2つのことが決められました。
まず一つは過去の未納期間です。届出忘れにより第3号被保険者の未納期間がある場合、平成17年4月より届出をすれば過去2年より前の期間も遡って保険料納付期間として扱われます。最長で国民年金の第3号被保険者制度ができた昭和61年4月まで遡ることができます。
さらに一つは今後の届出忘れについてです。2年以上届出を忘れた場合、やむを得ない事由がある場合には2年間より前の期間も保険料納付済み期間にできます。

大内:
心当たりのある方はまず相談に行かれるべきですね。

西田:
住所地の社会保険事務所へ年金手帳(ご夫婦2冊とも)持参のうえ問い合わせをして下さい。社会保険業務センターからお知らせの通知書が郵送されてきた人は、未届け期間の把握ができているため届出の手続きが不要ですが、それ以外の第3号未納期間がある方は届出をしない限り解消できません。

大内:
将来受取る年金が増額でき、ましてや加入期間不足で無年金者になることが解消されるのなら手間をかけても届出すべきですね。
夫婦の将来の年金収入が増えるという今回の内容は確かにハッピーな話題でした。

* すでに年金の受給を受けている方も第3号未納期間が納付済み期間となり、自動的に今年の5月分(6月受けとり分)から年金額が改定されています。
 
【法改正後の特例届出概略図】 クリックすると拡大表示されます
ご相談があればFP 大内と社労士 西田でお答えして参りますのでお気軽にご質問下さい。
 

このシリーズは今後も継続いたします。次回号は「若年者納付猶予制度」についてご紹介する予定です。

●この連載シリーズに関してのご質問・お問い合わせは下記までお願い致します。
 株式会社 グローバルハート
 TEL:03-3524-1468 FAX:03-3524-1564 E-mail:gheart@fine.ocn.ne.jp

●グローバルハート登録アドバイザーについて
 グローバルハートには、FP(ファイナンシャルプランナー)、社会保険労務士、税理士等の資格を備えたアドバイザーが全国で約300名登録しており、企業年金制度改革や教育(年金教育・投資教育)活動を行っております。

 
<< 前回の記事を読む  次号の記事を読む >>