2006/1/19 掲載
 社労士の西田です。昨年からFPの大内さんと始めましたこのコーナーも、年を越すことができました。本年も役立つ情報を提供できればと思っていますので、よろしくお願いします。
 さて、知って得する生活情報の今回も「高齢者の雇用延長義務に伴う知っておきたい周辺情報〔Part.3〕」としてお届けします。

大内:
第11号の在職老齢年金についての解説では、現在の賃金と過去のボーナスが影響していることがわかり大変興味ある内容でした。
老齢年金をもらい始めるサラリーマンの方々へのライフプラン相談にも役立ちます。

西田:
第11号でお話したことは、雇用延長をすすめる企業側にも知っておいていただきたいことでした。
雇用延長対策として年金の仕組みを知っておくことは重要なことです。
60歳以降の雇用問題だけでなく、60歳前の従業員に対する賃金設計も再検討していただくことが必要なのではないでしょうか。

大内:
高齢者の雇用延長対策は今年からではなく、すでに始まっているということなのですね。

西田:
1月7日付日経新聞夕刊記事によりますと、改正高齢者雇用安定法を受けて厚生労働省が行なった調査では、昨年11月1日時点で300人以上規模の企業の4分の1近くが継続雇用などの雇用確保措置導入済みであり、約9割が施行までに導入の見込みとのことでした。
調査では大半が継続雇用制度を採用し、雇用確保の上限年齢では導入もしくは導入見込み企業の約4割は今年4月から65歳以上へとしたものの、残り約6割は62歳から64歳に段階的に引上げると答えています。

大内:
今回改正される法律でも、雇用確保義務年齢を段階的に引き上げていますね。

西田:
確かに雇用確保義務年齢は
 
とされています。しかしこれを設定年齢の年度だけで判断してしまうと大きな誤りを起こすことになります。
平成18年4月1日からの段階的引き上げ年齢の意味に、年金の支給開始年齢とが大きく関係しているからなのです。

大内:
そういえば年金の支給開始年齢も、現在は定額部分支給を徐々に引上げていますね。
年金の支給開始年齢引き上げとは、60歳代前半の「特別支給の老齢厚生年金」が年数の経過とともに時間をかけてなくなる過程といえ、最終的には昭和36年4月2日以後に生まれた男性からなくなります。
  このスケジュールから昭和36年4月2日生まれの男性(女性は昭和41年4月2日)以降は65歳まで年金を支給されなくなりますね。

西田:
それでは60歳定年の企業で、平成18年4月1日より高齢者雇用確保義務が生じる人の生年月日を考えてみてください。
また、この人たちが特別支給の老齢厚生年金を定額部分も含め支給されるのは何歳のときですか。

大内:
昭和21年4月2日から昭和22年4月1日の世代ですね。
この世代の老齢厚生年金は男性の場合、報酬比例部分を60歳から支給されるものの定額部分を含めて受給できるのは、63歳からとなります。
平成18年度の雇用確保義務は先ほどのお話から62歳となっていました。すると63歳までの1年間は年金の不足分を賃金で補うことができない不安感がありますね。

西田:
そこが大きな誤りを生む部分なのです。先ほどの年ごとの雇用確保義務年齢は、その年に対象者の年齢が到達した場合雇用終了できる年齢なのです。
昭和21年4月2日以降の人が62歳になる平成20年4月2日には雇用確保義務年齢が63歳に引き上がっていますので、結果として老齢厚生年金が定額部分を含めて支給される63歳まで雇用が確保されることになるのです。
こうして特別支給の老齢厚生年金の定額部分支給年齢を引上げていくのにあわせて、雇用確保義務年齢も引上げられていきます。

大内:
今回の高齢者雇用安定法の改正は、老齢厚生年金の支給開始年齢引き上げによる影響を考慮したものだったのですね。

西田:
先ほどの雇用確保義務年齢を60歳定年企業に当てはめてみると
 
となります。これは企業側からみれば大きな問題です。
本年4月の62歳雇用確保義務に向けての準備できていたものの、実際には約1年後には64歳までの雇用確保義務にも対応していなければならなかったわけで、すでに決定していた人員計画などの見直しが出てくるかもしれません。

それでは高齢者の雇用延長のための賃金設計をする際の対処法をどうするのか、その際に知っておきたいことは何か、といったようなことは次回お話していきたいと思います。
 
ご相談があればFP 大内と社労士 西田でお答えして参りますのでお気軽にご質問下さい。
 

このシリーズは今後も継続いたします。
次回号は「定年後の金融資産運用〔Part.2〕」についてご紹介する予定です。

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