2006/2/16 掲載
 前回号の「中小企業会計導入とその影響」では、法律改正と全体の概要をご説明させて頂きました。今回号の第2弾からは「中小企業会計導入と退職給付制度」について解説いたします。
3.「中小企業会計」と「退職給付引当金」
<中小企業会計―退職給付債務と引当金>
退職給付債務とは ― 将来の退職金等の支払いに備えて、計算時点において、企業が認識しておくべき債務であり、何らかの資金的な準備をしておくべき金額のこと。
1.引当金の計上が必要な制度
  • 退職一時金制度
  • 適格退職年金
  • 確定給付企業年金
  • 厚生年金基金
2.引当金の計上が必要ない制度
  • 日本版401k(確定拠出年金)
  • 中退共
  • 特退共
3.引当金の計上方法
  • @退職給付債務−年金資産
  • A年金数理計算に基づく(簡便法・本則法)方法のうち、企業の実態に応じて計上
 
 
<中小企業会計―退職金の積立不足と引当金>
<積立不足(引当計上)を避ける方法>
1.退職金制度を廃止する
  → ●退職金規定は残る。  ●既得権の保護
2.他の制度へ移行
  ●一時金制度 ●日本版401k(DC)    
 
  ●適格退職年金 ●日本版401k(DC)   ※注1・・・移行時の不足は認められない。
      ●中退共   ※注2・・・給付減額は3分の2以上の同意が必要。
      ●確定給付企業年金    
 
  ●一時金+適格退職年金 DC、DC+DB、その他  
 
 
4.「中小企業会計」と「退職給付制度」
<中小企業会計―退職給付制度変更の影響>
<中小企業への影響>
 1. 新BIS規制導入(2007年度導入)により、金融機関の自己資本比率規制がより厳格に適用されると貸出し先企業の財務分析がより厳しくなり選別が始まる。
 
 2. 退職給付債務の引当処理がほとんど進んでいない
    ⇒ 社員に対する債務が顕在化してくる。
 
 3. 退職給付制度の変更は、時間と労力、新しい知識と経験が必要
    ⇒ 生保、信託からの助言が得られるか疑問。
 
 4. 銀行借入れ金利がアップする可能性がある。  
 
<中小企業顧問税理士への影響>
 1. 金融機関または新規顧客へ財務的な信頼を得るためには「会計参与」制度は必要。
 
 2. 退職給付債務を解決していくためには、労務、人事、企業年金制度の知識と経験が必要。
 
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