2006/2/16 掲載
 FPの大内です。今回は金融資産運用の前に『知財』について、お話したいと思います。

大内:
西田さん、「知財とはなんでしょう」と言われて、何を頭に浮かべますか。

西田:
特許とか発明などがすぐ浮かびます!

大内:
それらがすぐ浮かんできますが、個人的なものとして考えた場合はどうでしょうか。

西田:
あとは資格なども入るのではないでしょうか。

大内:
「知財=それ自体が何らかの価値を持っているもの」と考えると、そのようなものを浮かべるのが普通でしょうが、ここではもう少し広く「知財とは富を産出する能力」として考えてみたいのです。こう考えれば、「知財」とは特許や発明、資格などだけではなく、様々な能力も対象になります。
企業にお勤めの方は、様々な形で自分の能力を企業の富の創造に提供しているわけですから、それらは企業にとって大事な「知財」です。
ところが、定年退職によって企業での活動が停止する事になります。
その時、企業にとって「知財」であったものが、個人にとっての「知財」になりうるかということが重要になります。

西田:
企業は従業員の持つ能力を、後継者の育成とかマニュアル化などで継承していこうとしています。

大内:
それらは企業にとって富を作り出す「知財」ですから、当然の事だと思います。
ところが個人にとっては、自分の「知財」は、企業の中で磨き築き上げてきた有形無形のものですので、定年退職により活用の場を失ってしまいます。

西田:
会社での勤務年数は、通算すると30年以上にわたりますから、大変な時間をかけて築き上げたものです。

大内:
この「活用の場を失う自分の知財をどうするか」は、定年退職を控えた時に、どなたも考えることではないでしょうか。
そのときの選択の仕方により、今回のメーンテーマである『定年退職後の金融資産運用』の考え方も変わると思います。

西田:
二つのことが、どう結びつくのですか?

大内:
まず、ご自分の「知財」活用ですが、ざっくりと分けると、
(1)企業での雇用継続や他社に再就職することで活用する。
(2)自営業や法人設立など起業することで活用する。
(3)ボランティア活動などで活用する。
 などを目的とした方々と
(4)自分の資産運用のために活用する。
 方とでは、『定年退職後の金融資産運用』の目的が異なります。

(1) の場合、雇用期間中は年金+給与収入(働き方により調整がある)ということで安定的な収入が見込まれます。(※注)
(2) の場合、退職時に起業資金を準備する必要があります。その後は年金+事業の業績次第ということになります。
(3) の場合、収入の柱は年金です。ボランティア活動などの出費が考えられます。
(4) の場合、収入は年金だけです。積極的な資産運用成果次第です。

  知財の活用方法 主たる収入 家計上の心配ごと 金融資産運用目的
(1) 雇用延長や再就職 年金+給与収入 (※注) (※注)
(2) 起業する 年金+事業収入 事業収入が安定する
までの生活費
当面の生活費補てん
(3) ボランティア活動
をする
年金 当面の生活費と
ボランティア資金
当面の生活費補てん
(4) 自分の資産活用
に使う
年金 当面の生活費 積極的な資産活用

※注・・・ 必ずしも定年前の収入が確保できる訳ではないので、何らかの生活費補填を考慮する必要があります。詳細はこちらこちらをご覧下さい。

図のようにお金の出入りが異なりますので、おのずと金融資産運用に取組む姿勢も異なるものになるということです。

西田:
話が少し逸れますが、「高齢者の雇用延長義務に伴う知っておきたい周辺情報」での反応を見ると、60歳以降も働こうと考えている方が多いようです。

大内:
西田さんが、このメルマガ上でご説明しているように、60歳からの厚生年金受給は当面は報酬比例部分のみですから受給額が少ない、そのため定額部分も含めたフル受給時期まで働こうというのが背景だと思います。
ところが、定年後の働き方には、単に収入を確保したいというだけではない動機もあるようです。収入だけ考えれば、(1)の選択でいいわけですが(※注)、先ほど西田さんが言っていたように、30年以上にわたり「知財」価値を築き上げてきたわけですから、(2)や(3)を選択した方々にとってはどちらかというと、生きがいや自分への思いなどが強く含まれています。それをどのような形で実現するかです。

西田:
60歳以降も働きたいという意志の中には、自己実現の気持ちもあるわけですね。

大内:
企業で、50歳台や定年退職前の方々を対象としたリタイアメント研修をやっていますと、働きたいという意志の中に自己実現の気持ちが強いことを感じます。

西田:
具体的にはどういうことですか?

大内:
ご自分の定年退職後の生活をイメージしていただくために、定年後の生活収支予想表(キャッシュフロー表)を作っていただくのですが、その時に収入の欄を埋める数字に苦労されています。自分の思いを数字にするわけですから、そう簡単に作れないのです。

西田:
「知財」の価値ですから難しいでしょうね。

大内:
いずれにしても、当面の厚生年金受給額だけでは生活することが難しいので、退職金や企業年金を含めた金融資産から生活補てんをしていかなければなりません。ですから「定年後の金融資産運用」にいますぐにも積極的になっていただきたいなぁと思います。
確定拠出型企業年金を採用している企業にお勤めの方は、最適な勉強手段を企業が用意しているのですから、将来の納得のいく生き方を実現するための手段だと考えていただきたいですね。
 
ご相談があればFP 大内と社労士 西田でお答えして参りますのでお気軽にご質問下さい。
 

このシリーズは今後も継続いたします。
次回号は「高齢者の雇用延長義務に伴う知っておきたい周辺情報〔Part.4〕」
についてご紹介する予定です。

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