2006/4/20 掲載
 FPの大内です。この『グローバルハート登録アドバイザーのFPと社労士が語り合う』シリーズも第12回を迎え、今号が最終回となります。社労士の西田さんとFPの私、大内が語り合う形式で年金や生活にまつわる情報をお届けして参りました。みなさまから反響があった題材等は今後の新連載にも取り入れ、お届けして参りたいと思いますので、新連載をお楽しみにしてください。
 最終号は、私、FP大内が「定年後の金融資産運用・まとめ編」をお送り致します。

西田:
前回は「知財」についてお話していましたが、今回はどのようなお話ですか?

大内:

「定年後の金融資産運用」ということで、1回目は基本的心構え、2回目は御自分が築き上げてきた「知財」についてお話させていただきました。今回から金融資産運用についてお話させていただくことを予告いたしましたが、このシリーズは今回をもって、一旦終了ということになりましたので、「まとめ」という形でお話させていただきます。

【1】まずご理解いただきたいのは、現在の日本の就業人口構成です。
 

 就業年齢(20歳から65歳)人口と未就業年齢(0歳から20歳未満)人口、非就業年齢(65歳以上)人口の割合は7,610万人対5,156万人の構成になっております。
社会保険の制度は、簡単にいえば就業人口が未就業者と非就業者を支えているといえますが、既に1.5人で1人を支えていることになります。今後、非就業者人口は、団塊世代の定年退職などにより数が増えますので、支える比率は限りなく1対1に近づいていきます。注目すべきことは非就業者全体の平均余命が延びていることです(65歳から74歳1,401万人、75歳以上1,155万人)。
この平均余命が延びていることの方が、社会保険を運営する上では、年金受給期間の長期化や高年齢での医療費用・介護費用の増大を考えると大変なことではないかと思えます。最近の社会保険制度改革の中身を見てみますと、長生きがおめでたいことではなく、あたりまえの時代になったということで、それ相応の負担をしていただきますという考え方に変わってきているなぁと感じます。
極端な受け止め方をすると、これからは社会的通念として、高齢者は社会的弱者ではないという考えに変わって行くのではないかと思えます。


西田:

そうなりますと、これからの定年退職後の生活を考える時、どのような考え方が必要になってくるでしょうか?


大内:
長生きがあたりまえのことになるのですから、素直にそれと向き合うことです。
【2】退職後の生活期間を新しい人生と考えることが必要です。
 (1)自分が60歳になったら、そこから20年以上の生活が待っている。
 (2)この期間はそれまでの人生と異なり、加齢との闘いになる。
 (3)生きていく上での相応の社会的負担が求められる。
 (4)加齢と闘いながら、いかに心地良い生活を達成するか。
  ということをまず頭の中に入れておいて欲しいです。

西田:
具体的に言うと、どうなりますか?

大内:

図で説明いたしますと、

社会保険は、60歳以後はその方の働き方により制度や加入/受給の形が変わってきますが、詳しい説明は省かせていただいて、基本的には年金・医療・介護保険は終身で利用できます。
但し、先に申し上げたように、高齢者(非就業者)を支える就業人口との比率が低くなっていきますので、保険料や自己負担金は増え、年金等の受給額は減っていく可能性があります。このような将来の状況を考えますと、60歳から70歳までの活動的な期間の生き方が大切になってきます。

図に書きましたように、
  (1)働き方についての整備がされ、今後も更に充実してくるでしょう。
  (2)資産活用の選択肢が、従来に比べ格段に増えています。

この期間は、身体も頭もしっかりしていますし、資産もそれなりにお持ちの、いわば人生の黄金期なわけですから、その後の期間を心地良く暮らすためにも、前回申し上げた「知財」を使い積極的に生きていただきたいのです。
働く場合も単に雇われているのではなく、自分の修得した「知財」の活用を図り、より付加価値の高いものにしていく。また、仲間とそれぞれの「知財」を活用した期間限定の事業組合などをお創りになるのもよいと思います。
更に、もう充分働いたからのんびりしたいという方は、「知財」と資産を活用した投資を事業として考えて行うのもいいことだと思います。


西田:
しかし、後がないという意味では失敗の許されない時期ですね。

大内:
その通りです。ですから重要なのは「知財」なのです。私は「知財」を富を作り出す能力と考えております。つまり、その方の能力以上のことはしてはいけません!ということです。そのためにも60歳になる前からご自分の「知財」を高めることをやってくださいと申し上げております。

西田:
金融資産の運用も同じことでしょうか。

大内:
同じです。FPの場合、資産運用についてはポートフォリオ(資産配分)の最適化についての相談が主な仕事ですが、その場合重要なのは、その方の資産内容もさることながら、その方の「知財=能力」です。その方の能力を越えた金融商品をポートフォリオに組み込むのはいかがなものかと思います。

西田:
そうしますと、ポートフォリオはそれぞれ個人ごとに異なったものになるということですか。

大内:

そうなると思います。例えば、定年退職後の金融資産運用といっても、運用それ自体が好きな方と必要資金を確保したい方とでは違います。この場で、定年退職後の金融資産運用について、具体的な商品名とか運用手法などを言うことは無理なことなのです。
一般的には、退職後の生活(リタイアメントプラン)とからめ、図のような説明になります。

 (1)ご自分の今後の20年以上の生活を考えてみる。
 (2)その時に必要な金額を見積もってみる。
 (3)定期的な収入の受給時期や期間、予定額を見積もってみる。
 (4)必要資金が不足する時期や資金に余裕のある時期が見えてくる。
 (5)(4)に合う運用を考える。
  この一連の流れが定年後の金融資産運用の基本になります。


西田:
それ以上のことは、個別にご相談くださいということですか。

大内:
その通りです。その方の人生にとって、とても大切なことなので、(5)については安易なことはいえません。

西田:
まとめとしては、どうなりますか。

大内:
知恵があればお金は寄ってくるが、知恵が無ければお金は離れていくということで、まずはご自分の「知財」を高めることを定年前に考えてください。

西田:
今回は定年前をテーマにしましたが、お話を聞いていると、もう少し前の40歳代から、色々と考えておくことが大切ですね。

大内:
そうですね、40歳代は仕事や家庭のことなど、大変に忙しい時期ですが、その忙しい仕事や家庭のことがそのまま定年後に繋がっていきますので、大変重要な年代です。

西田:
機会があれば、またテーマを決め、お話したいものですね。

大内:
そうですね。
 
ご相談があればFP 大内と社労士 西田でお答えして参りますのでお気軽にご質問下さい。
 

今回号を持ちまして『グローバルハート登録アドバイザーのFPと社労士が語り合う』シリーズは終了となります。
次回号から新シリーズを連載いたしますのでお楽しみにしてください。

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 グローバルハートには、FP(ファイナンシャルプランナー)、社会保険労務士、税理士等の資格を備えたアドバイザーが全国で約300名登録しており、企業年金制度改革や教育(年金教育・投資教育)活動を行っております。

 
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