2006/7/20 掲載
前回号では「退職給付債務の計算方法」について解説致しました。
今回は「退職給付制度 制度移行の検討と実務」についてお伝えしてまいります。
解説は前回号に引き続きグローバルハートが2005年9月に開催いたしました「中小企業会計と退職給付引当金セミナー」の資料を使用し解説させていただきます。
退職給付制度 制度移行の実務−問題点の洗い出しと解決策の検討
これまでお伝えしてきました通り、中小企業会計導入に伴い、今後、中小企業においても企業のキャッシュフローが開示され、退職給付債務も明らかにされることになります。これらの開示によって、取引先・銀行・株主等に対する影響が想定されます。
また、適格退職年金廃止に伴い制度を移行する必要がある企業も今後益々増加するでしょう。
そこで、今回から数回に渡り、「中小企業会計導入に伴う退職給付制度を変更する場合の検討事項と制度移行に伴う実務」をご紹介してまいります。
 
  現在の制度の移行を検討する際には、様々な制度がありますので、それらの制度のメリット・デメリットを確認し、自社にあった制度を導入できるようよく検討する必要があります。下記では中小企業が採用可能な退職給付制度をあげ、制度比較を表にまとめてみました。  
退職給付制度 制度比較表(例)
 
  移行する制度を検討する前に、移行後のシミュレーションを実施する必要があります。下記の例では「確定給付型」の制度から「確定拠出型」の制度に移行した場合の退職金の違いを例にあげ比較してみました。  
制度移行の変更例(退職金予想グラフ例)
グラフの部分をクリックすると拡大表示します。
 
◆ ポイント ◆
「既得権」を確保しながら退職給付債務を解消することが重要。
 
退職給付制度 制度移行の際の既得権の保証と期待権
  上記でも述べたように、制度の移行の際には、従業員の既得権の問題が重要です。在籍中の従業員には退職金規程において保証された既得権があります。制度移行の際にはこれを保証しなければ労使問題等に発展する恐れがあります。下記のグラフにあるように、現行退職金カーブと新退職金カーブの既得権と期待権をどのように考えて制度を設計するか検討する必要があります。  
 
  退職給付制度の変更には労使合意が絶対条件です。労使合意を得ずして強引に制度の変更を進めると訴訟問題にも発展しかねない状況になることも予想されます。
労使合意をスムーズに進めるためにも事前の用意が不可欠です。
 
労使合意シミュレーション(例)
◆ ポイント ◆
「不利益変更は無効」の命題
 
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