2006/11/16 掲載
このシリーズ「ドキュメント企業年金−日本版401k」では企業年金にまつわる課題を検討し、企業と加入者の方のためのより良い制度の運営に貢献できますよう様々な角度から情報を提供させて頂いております。
前回は「企業の果たす役割−加入者向け運用アドバイスの方法〔Part.3〕」として、グローバルハートで行っている「投資教育講座」から、加入者向けアドバイスの方法の詳細「金融商品の基礎知識〜投資信託」をお伝えしました。
今回は「金融商品の基礎知識〜債券」についてお伝えします。
 
投資教育で大切なのは変化に対応し自分の判断で運用していくことを自ら認識してもらうことです。そして自分の判断を下す為には正しい金融・投資の基礎知識が大切です。
金融商品の基礎を学び、リターンとリスクを理解することが投資教育の第一歩です。
 
投資教育の内容 6.債券の基礎知識
 
1.債券とは
  債券とは、資金調達をしようとする国や地方自治体、企業等の発行体が、お金を借りた証拠として利息の支払いや元本の返済を約束して発行する証書です。
国が発行した債券を「国債」、地方自治体が発行した債券を「地方債」、企業が発行した債券を「社債」といいます。
債券には満期(=償還)があり、満期までの期間は1年〜10年まで等、様々な種類があります。満期になるまでの間、定期的に利息を受取ることができ、満期まで保有すると額面金額が払い戻されます。
また、原則満期前(=償還前)に売買が可能ですが、途中換金は債券の価格の変動により購入価格を下回るリスクも伴うので注意が必要です。
債券には、様々な種類があります。種類ごとに以下に分類してみました。
 
2.債券の種類と投資パターン−債券の分類
 
【利払い方式による分類】
利付債
  定期的に利払いがある債券。利付債には利札(クーポン)がついていて、それと引き換えに利息を受け取ります。
利付債には、発行時に決められた利率が満期まで変動しない「固定利付債」と、その時々の金利情勢に応じて利率が変動する「変動利付債」があります。
 
割引債
  額面を割り引いた安い価格で発行され、満期に額面金額が償還される債券です。つまり利札(クーポン)がない代わりに、発行価額を額面より安くして割引発行します。
償還時の差益が利息分となるため利札はついていません。なお、この利息相当分のことを償還差益といいます。外貨建債券の「ゼロ・クーポン債」も割引債と同じです。
 
【通貨等による分類】
国内債
  発行場所・発行体・発行通貨が国内の債券。
外債
  発行場所・発行体・発行通貨のいずれかが外国の債券。
円貨建て
  円で発行される債券。
外貨建て
  外貨で発行される債券。為替の動きにより円貨ベースの収益が変化します。
 
【発行体による分類】
公共債
  国や地方自治体、政府公共団体が発行する債券。「国債」・「地方債」・「政府保証債」など。
各国の中央政府から発行・保証された債券を「ソブリン債」といいます。
民間債
  一般企業が発行する普通社債、新株予約権付社債や、特別な法律によって金融機関が発行する金融債など。
公社債
  公社債とは公共債・民間債を合わせた債券の総称。
 
債券の種類と特徴 (発行体による分類)
(国内で発行される債券のうち、代表的なものの一覧表)
  • 国債は平成15年より、金融機関等に開設した帳簿への記載によって取引を行う新しい振替決済制度が開始されペーパレスとなりました。
  • 短期国債(償還期限1年以内)には割引短期国債(TB)と政府短期証券(FB)がありますが、入札参加資格のある金融機関などに限られ、個人は購入することが出来ません。
  • 平成14年4月の商法改正で、従来の転換社債とワラント債は、新株予約権付社債に分類されました。
 
新発債と既発債
  新たに発行される債券を新発債(しんぱつさい)、既に発行されて市場に流通している債券を既発債(きはつさい)といいます。
 
【債券の投資パターン】
  債券は額面と利率が決まっていることから、新発債であれ既発債であれ、購入した時点で満期まで保有した場合の最終利回りが確定しますが、途中売却の場合は価格変動という不確定な要因=リスクがつきものです。
債券投資の基本は新発債あるいは既発債を購入して、満期まで保有することです。
しかし、価格変動のタイミングをうまくつかんで売買すれば、満期まで保有した場合の利回りを上回る利益を得ることも可能です。
 
債券投資のコスト
  新発債の購入、満期償還では手数料等のコストはかかりません。
しかし、途中売却する際は別途、売却手数料などのコストが必要となります。
また既発債の購入時には、売り手の所有期間分の「経過利息」を立て替え払いすることになるため、実際の投資利回りを計算する場合、これらのコストを考慮する必要があります。
 
途中償還
  新発債、既発債にかかわらず、一部の債券では満期前に抽選などの方法により、一部または全部が償還される場合があります。このような償還に関する条件は発行時に決められています。
 
債券の投資パターン
 
3.価格変動と利回り
  債券の「利率」は発行時の市場における金利水準をもとに、発行体の信用度、期間などを考慮して決定されます。
債券の市場価値は市場金利との関連で日々変動し、その価格変動により債券の投資収益すなわち「利回り」も変化します。
 
【発行条件】
  債券の発行時に決められる利率、期間、額面、発行価格などを発行条件といいます。
 
【利率と利回り】
利率
  「額面金額に対して毎年受け取れる利息の割合」のこと。例えば期間10年、額面100万円、利率5%なら毎年5万円の利息が10年間受け取れます。
 
額面金額
  その債券の購入金額ではなく、満期時に償還される金額のこと。
 
利回り
  「実際に投資した額に対する収益の割合」のこと。
 
【利回りの計算】
  新発債の債券は発行条件で決められた発行価格で購入できます。
一方、既発債は市場価格で購入しますが、購入金額は額面金額を上回ることも下回ることもあります。
また、債券を満期まで保有せず、途中で売却する時の売却金額についても同様です。
投資した債券の最終的な利回りは、債券の購入金額に対する、利息プラス債券の売買損益の割合を所有期間によって年換算することで計算されます。

※額面を100円とし、購入価格・売却価格は100円に対する換算金額で計算。手取り金額での実質的な利回り計算は、税金・手数料などを差し引いて計算する必要があります。

 
割引債の利回り
  割引債の利回りは、利息相当分である購入価格と額面金額との差額が、購入価格に対しどれくらいの割合になるかを年率換算して計算します。期間が1年を超えるものについては複利計算となります。
 
【債券価格と金利】
  金利上昇局面では債券の価格は下がり、逆に金利低下局面では債券の価格は上がります。
  
 
【固定金利と変動金利】
固定金利
  購入時の金利が満期まで変らないものをいいます。代表的なものとして公社債(変動利付債を除いた)等があります。
 
変動金利
  保有期間中でも市場金利の変化に連動して利率が変化するものをいいます。代表的なものとして中期国債ファンドやMMF等があります。
 
債券の価格と利回りの関係
(期間10年・年利5%の債券の場合)
上記の債券が100円で発行され(額面発行)、3年後に103円(債券の市場価格は額面を100円とした基準で呼ばれる)で売れた場合、年利息5万円×3年=15万円+債券価格の値上がり益3万円=18万円が、投資金額100万円、期間3年で得られたわけですから、所有期間利回りは6%となります。逆に97円に値下がりした場合は4%になる計算です。
 
利回り計算の手順
 
4.外債投信
  金利水準は各国の経済情勢によっても異なります。外国債券には日本の金利に比べて高利率のものも多いのが特徴です。
外債投資には、国内債券投資における「信用リスク」「価格変動リスク」 「流動性リスク」の他に「為替リスク」「カントリーリスク」に対する注意が必要です。
 
【高利率】
  国内の預貯金の利息が超低金利の時代にあって、より高利回りを追求する金融商品として注目されているのが外貨預金や外債です。
海外に目を転ずれば、5%〜6%という高い利息の債券があり、外債投資の魅力の1つとして注目されています。
 
【為替リスク】
  外債投資に限らず、資産を外貨で運用する場合、為替相場の動向によって円貨ベースの採算は大きく変わります。利息や満期償還金または売却代金を円に換算する時点の為替相場が、購入時に比べ円安になると円での手取り額が増えますが、逆に円高になると円での手取り額が減ります。つまり、為替相場によっては、円貨ベースでみた投資利回りが低下する(場合によっては損失が発生する)ことも、逆に利回りが向上することもあります。
 
【外債の種類】
外貨建ての外債
  購入・利払い・償還全てが外貨建て(米ドルやユーロなど)で行われる債券です。
なお、外貨建て外債の発行は主に海外で行われますが、外国の発行自体が日本国内で発行するものをとくに「ショーグン・ボンド」と呼びます。
 
<米国財務省証券>
  米ドル建て公共債の代表が「米国財務省証券」、つまりアメリカ国債です。
売買量・発行残高ともに世界一で安全性・換金性に優れ、期間や種類も豊富なため投資しやすい外債といえます。
 
二重通貨建ての外債
  払い込み・利払い・償還が2種類の通貨で設定されているものを二重通貨建て債(デュアル・カレンシー債)といいます。
デュアル・カレンシー債とリバース・デュアル・カレンシー債があり、いずれも為替変動リスクを外貨建ての部分に限定する仕組みになっています。
 
  • デュアル・カレンシー債
    購入金額の払込みと利払いが円建てで、償還が外貨建ての債券
  • リバース・デュアル・カレンシー債
    払込みと償還が円建てで、利払いが外貨建ての債券
 
<外債を換金する際の注意>
  二重通貨建て外債(デュアル・カレンシー債)には、カナダドル、ニュージーランドドルなどの通貨も利用されています。しかし、債券の流通量や市場規模は、アメリカ国債などとは比べものにならないくらい小規模です。
流通量の少ない債券は市場価格のディスクローズが不十分だったり、換金性が劣る場合があるため、投資に際しては注意が必要です。
また、発行国自体の信用度、いわゆるカントリー・リスクを把握しておくことも大切です。
 
円貨建ての外債
  購入・利払い・償還全てが円貨建てで行われる債券で、為替リスクはありません。
このうち外国の発行体が日本国内で発行するものが「円建外債」で、通称「サムライ・ボンド」と呼ばれています。
以前は100万円以上であった申込単位は、50万円や10万円と小口化され、個人向け発行が進んでいます。
一方、発行体を問わず、ロンドンなどのユーロ市場で発行される円建てのものを「ユーロ円債」といいます。
 
5.債券投資のリスク
  債券はその債券の発行体によって安全度が異なります。
国債は国がつぶれない限りは安全ということになりますので最も安全性が高い債券といえるでしょう。
一方、社債は会社の経営状態によって安全性が異なります。
また、外債等には為替変動のリスクが発生します。
債券を購入する際には目論見書を入手し内容を十分確認し、格付け機関などの評価にも目を通すことが重要です。そしてその債券の持つリスクを事前に把握しておくことが大切です。
 
【信用リスク】
  デフォルト・リスク(債務不履行リスク)ともいわれ、元本や利息の支払いが滞ったり、支払い不能が生じる可能性のことをいいます。
 
【価格変動リスク】
  途中換金する際に受取額が変動する可能性があることをいいます。
市場で売却する際には売却益が出る場合もありますが、売却損がでる場合もあることも考慮に入れる必要があります。
 
【流動性リスク】
  債券だけに限らず市場の流れが投資商品の価格に影響を及ぼすことがあります。
市場実勢によっては期待していたリターンが得られないリスクが発生することも考慮に入れておく必要があります。つまり途中で換金したい時に売買が成立しないことを「流動性リスク」といいます。
 
【為替リスク】
  外債投資に限らず、資産を外貨で運用する場合、為替相場の動向によって円貨ベースの採算は大きく変わります。利息や満期償還金または売却代金を円に換算する時点の為替相場が、購入時に比べ円安になると円での手取り額が増えますが、逆に円高になると円での手取り額が減ります。つまり、為替相場によっては、円貨ベースでみた投資利回りが低下する(場合によっては損失が発生する)ことも、逆に利回りが向上することもあります。
 
【カントリーリスク】
  外国債券を購入する際には、発行体の国や地域の政治経済の環境による影響を考慮に入れる必要があります。財政破綻や戦争・災害によって国外への元利金の支払不履行となる可能性もあるからです。
カントリーリスク情報は国内外の格付け機関や調査機関等で発表されています。
 
【債券の格付け】
  格付け機関による評価は絶対ではありません。同じ債券でも格付け機関により評価が異なることもあります。
しかし債券の安全性を判断する上では参考になると思いますので格付機関の評価を確認することは大切です。

格付け機関(金融庁指定格付け機関(2006年現在))
ムーディーズジャパン、スダンダード&プアーズ(S&P)、フィッチレーティングス、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)
 
6.債券投資の税金
 
【債券の利子】
  原則一律20%の源泉分離課税(所得税15%・住民税5%)
※円建て外債(国際機関が発行する外債、デュアル・カレンシー債を含む)は総合課税の対象
 
【割引債の税金】
  発行時税率18%源泉分離課税
 
【利付債の償還差益】
  雑所得として総合課税の対象(※確定申告の必要があります。)
 
【譲渡益に対する税金】
  一般の債券・・・非課税
新株予約権付社債・・・原則、譲渡益に対し20%(所得税15%・住民税5%)が課税される。
(※2003年1月から2007年12月末までに証券会社を通じで売却した際の税率は10%に軽減されている。)
 
【障害者等のマル優、特別マル優制度】
  国債の利付債には障害者の方等が対象の「障害者等のマル優制度」の適用があり、預貯金等と合わせて元本350万円を限度としてその利子が非課税となります。
また「障害者等のマル優制度」とは別枠で利付債については、障害者の方等が対象の「障害者等の特別マル優制度」の適用があり、公募地方債と合わせて元本350万円を限度としてその利子が非課税となっています。

国債以外の債券についても「障害者等のマル優」「特別マル優」が受けられる商品等がありますので、詳しくは取り扱い金融機関にお尋ねください。
 
 
債券購入の際には投資信託等の購入と同じように、目論見書を入手し内容を十分把握することが大切です。
上記でもお伝えしましたが、金利上昇局面では債券の価格は下がることが予想されます。
今後、金利が上昇するといわれていますので、債券投資は積極的に行う局面ではないかもしれません。
しかし、しかるべき時に役立てるためにもこのような時期にしっかりと知識を蓄えることが大切ではないでしょうか。
 
 

*今回掲載の資料はグローバルハートで行っている投資教育講座資料をもとに作成しております。資料につきましてのご質問は下記までお願い致します。
当資料はあくまでも参考資料となりますので、お取り扱いにご注意ください。実際の債券投資の際には各取り扱い機関等にお問い合わせください。


 株式会社グローバルハート  gheart@fine.ocn.ne.jp
 
 
<< 前回の記事を読む 次号の記事を読む >>