2007/3/15 掲載
このシリーズ「ドキュメント企業年金−日本版401k」では企業年金にまつわる課題を検討し、企業と加入者の方のためのより良い制度の運営に貢献できますよう様々な角度から情報を提供させて頂いております。
前号から「企業の果たす役割−加入者向け運用アドバイスの方法」として、グローバルハートで行っている「投資教育講座」から、加入者向けアドバイスの方法の詳細「金融商品の基礎知識〜株式」を3回シリーズでお伝えしております。
今回は前号に引き続き「金融商品の基礎知識〜株式」ついて第2回をお送りいたします。
 
投資教育で大切なのは変化に対応し自分の判断で運用していくことを自ら認識してもらうことです。そして自分の判断を下す為には正しい金融・投資の基礎知識が大切です。
金融商品の基礎を学び、リターンとリスクを理解することが投資教育の第一歩です。
 
投資教育の内容 株式の基礎知識(2)
 
1.貸借対照表
【貸借対照表の見方・2つのポイント】
  ・貸借対照表は会社の一定時点における財政状態を表わしています。
  ・負債と純資産は「資金の調達手段」、資産は「資金の使い途」を示しています。
 
貸借対照表
 
貸借対照表の構成
 
貸借対照表は、資産・負債・純資産が一覧表になっていて、ある時点での企業の財政状態を示したものです。
 左側の資産の合計と右側の負債・純資産の合計は等しく、会社は株主資本と他社からの負債とを有形・無形の資産に変え、事業活動を行っていることを示しています。
 
<注意>2006年5月に施行されました会社法で次のように改正されました。
 新しい会社法が2006年5月に施行され、5月決算会社から新「会社計算規則」が適用されました。計算書類の内容の改正に加えて細部の新規定等が創設されているために、従来の決算書とは大きく変容しました。その内容について記載します。
 
 
【ポイント】
  • 株式会社には計算書類及び事業報告の作成が強制されます。
  • 計算書類として「株主資本等変動計算書及び個別注記表」が新計算書類として加わりました。
  • 会社法では、利益処分案又は損失処理案の規定は廃止されました。
  • 資本取引による純資産の部の計数の変動を明らかにするための計算書類として株主資本等変動計算書が作成されることになりました。
  • 会社法では、従来の貸借対照表又は損益計算書の注記事項とされていた事項を抽出した書面を「個別注記表」として独立して作成することになりました。
  • 株式会社は、剰余金の配当を行うごとに分配可能額を計算する必要があるため、その計算の基準日となる臨時決算日を定め、その臨時決算日までの損益を把握する計算書類として臨時計算書類を作成する必要があります。
 
 
【ポイント】
  1. 株主資本等変動計算書は、事業年度における純資産の部の項目の変動を示す表としての役割を担います。
  2. 株主資本等変動計算書は、資本金、準備金(資本準備金及び利益準備金)、その他資本剰余金、その他利益剰余金、自己株式、新株予約権などの変動を示す計算書類です。
  3. 1年に何回でも剰余金の配当を行うことができることとされたこと、また、剰余金の配当の決定や純資産の部の計数の変動が取締役会に委ねられる場合があることが株主資本等変動計算書が導入された理由といえます。
  4. 株主資本等変動計算書の表示等のルール
  • 株主資本等変動計算書は、株主資本、評価・換算差額等及び新株予約権の区分に応じ、それぞれの項目に区分して表示する必要があります。
  • 株主資本は、資本金、新株申込証拠金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式及び自己株式申込証拠金に掲げる項目に区分して表示する必要があります。
  • 資本剰余金は、資本準備金及びその他資本剰余金に区分する必要があります。
  • 利益剰余金は、利益準備金及びその他利益剰余金に区分する必要があります。
  • 評価・換算差額等は、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益及び土地再評価差額金の科目その適当な名称を付した項目に細分することができます。
 
 
【ポイント】
  1. 個別注記表は、12種類の注記項目に分類して表示する必要があります。
  2. 貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書の特定の項目又は科目に関する注記については、その関連を明らかにする必要があります。
  3. 公開会社でない会社(会計監査人設置会社を除く。)は、個別注記表における12種類の注記項目のうち、重要な会計方針に係る事項に関する注記、株主資本等変動計算書に関する注記及びその他の注記以外の注記項目を省略することができます。
 
貸借対照表の解説

【資産の部】
 表示にはいくつかのルールがあり、一般的に現金化しやすい順、または現金として支払っていかなければいけない順番に各項目が設けられています。会社の規模が大きければ、資産の合計も大きくなります。しかし資産合計が同じでも、棚卸資産が大きい場合(在庫を大量に抱えている場合と現金預金・有価証券が大きい場合(手元資金に余裕がある)とでは会社の財務状態が違います。どの部分が大きくなっているか、適正な配分であるかにも注意が必要です。
 
流動資産
   現金・預金、受取手形、売掛金、たな卸し資産などで、決算日から1年以内に現金化できる資産のこと。
 
固定資産
   建物、機械、営業権、長期保有目的の株式、長期貸付金などで、1年を超える長期にわたって利用・活用・運用し、現金や価値を生み出すもののこと。

【負債の部】
 返済義務のあるもの(借入金など)、対価を払わなければいけないもの(買掛金)の他、将来、支出が見込まれるものに対しての準備(引当金)が含まれます。
 
流動負債
   1年以内に返済または支払をしなければいけない負債などで、支払手形、買掛金、未払金、短期借入金などが含まれます。
 
固定負債
   返済日・支払日が1年を超えるもので社債、転換社債、長期借入金などが含まれます。
 
【純資産の部】
 株主(社員)資本とそれ以外の資本が分かれて表示されています。ある場合にのみ評価・換算差額等、新株予約権等が表示されます。
 
資本金
   株主(社員)が払い込んだ出資金のうち、資本金として組み入れた金額のこと。
 
剰余金
   企業が過去においてあげてきた利益のうち、配当金、役員賞与などが支払われた残りが「内部留保」として、再投資される資産となります。この累計が剰余金です。
<自社株取得>
 剰余金は、消却目的のために自社株取得に使われることがあります。自社株消却によって発行済み株式数を減らすことは、1株当たり利益を高めることになり、また市場に出回る株式数も減るので、適正株価の維持に役立ちます。
 
2.損益計算書
【損益計算書の見方・ポイント】
・損益計算書は、一定期間の会社の経営成績を表していて、会社がどれだけの利益を上げたか(または損失が生じたか)がわかります。
 
損益計算書
 
損益計算書の解説
 
売上高
   通常の事業活動で得られた収入のこと。企業の利益の源であるため、売上高推移のチェックが先ず必要です。
 
営業利益
   損益計算書は、一定の期間内の企業活動に対してどれだけの収入があり、経費がかかったかを示したもので、いわばその期間の収支報告です。売上高から当期利益までその使途に至る計算の順に記載されています。損益計算書には、売上高・営業利益・経常利益・当期利益などの重要なデータが書かれており、とくに企業の収益性の分析に役立つデータとなります。

 売上高から「売上原価」と人件費・広告費等などの「販売費及び一般管理費」を引いたものが営業利益です。営業利益は、その企業の「本業」の利益と言え、本業の収益が好調かどうか、種々のコストダウンなど合理化が進んでいるかなどを見ることができます。
 
営業外損益
   「本業」の事業活動とは別に入ってきたり出ていったりした金額のこと。受取利息や支払利息などの金融収支が主な内容です。つまり、金融資産が多い会社はプラス額が多くなり、反対に有利子負債の多い会社はマイナス額が多くなるといえます。
 
経常利益
   営業利益に財務活動の営業外損益を加減したもの。期間内の企業の総合的な経営成果を表しています。
 
特別利益
   臨時に発生した損益で、土地・株式などの資産売却などによる今期のみの臨時収入、災害などによる損失、不良債権処理のための損失計上などがあります。
 
当期純利益
   税引き前当期純利益から法人税・法人住民税を引いた最終的な利益です。
 
 
今回は「金融商品の基礎知識〜株式No2」ということで株式投資の基礎をお伝えいたしました。次号でも「株式の基礎知識(3)」を引き続きお伝えいたします。
 
 

*今回掲載の資料はグローバルハートで行っている投資教育講座資料をもとに作成しております。資料につきましてのご質問は下記までお願い致します。


 株式会社グローバルハート  gheart@fine.ocn.ne.jp
 
 
注意※
2006年5月1日より施行の会社法により貸借対照表、損益計算書等の計算書類が変更となっています。
当資料は金融商品の基礎知識の説明を目的として作成されておりますので、用語・内容等は概要記載とさせて頂いております。
詳しくは、法務省等の法令規則をご確認ください。

当社参考法令等
・会社法
・会社法施行規則
・会社計算規則
・財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
 
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