2007/9/20 掲載
新シリーズ!『にっぽん・年金解体新書』がスタートいたしました。
万が一の時のための遺族年金。詳細については意外に知られていないようです。
いざと言う時に困らないために「どんな時」に「誰」が「どのくらい」受取れるのか知っておくことは大切なことでしょう。
『にっぽん・年金解体新書』の第1回、第2回では 「遺族年金」についてわかりやすく解説してまいります。
 
社会保険労務士の西田です。
新コーナーの1回目の担当をさせていただくことになりました。

皆様もすでにご存知のように公的年金記録漏れが表面化し、年金に対する不安感がさらに増大することになってしまいましたが、いいかえれば国民がいかに公的年金に対して関心をもっているかを改めて確認することができました。

年金の受給は老後からと考えるのが一般的だと思われますが、年金は老後に受取るだけではありません。障害を負ったり、遺族になったりといったような場合にも給付されますので、いわば民間の生命保険のような機能をも兼ね備えています。

私は仕事上生命保険などの見直しをさせていただくことがあるのですが、必要保障額だけでなくすでに準備できている保障部分としてこの公的年金の話をした場合に、「知らなかった」「ためになった」と言われたことをたびたび経験しています。

社会保険庁のホームページによると平成17年度厚生年金保険受給者総数2,316万人のうち1,866万人が老齢の給付を受けていますが、その他に414万人(全体の約18%ほど)の方が遺族給付を受けており、このことからも公的年金制度は年齢に関わらず国民にとって重要な役割を担っていることがわかります。

そこで今回は公的年金のうち遺族年金がどんな時に誰がどのくらい受けられるのかといったことを2回に分けて解説していくことにします。
 
【表1】
 
 
 

遺族年金とは

遺族年金は年金加入者が死亡した場合に亡くなった人の遺族等に支給されます。
わが国の年金制度は20歳以上60歳未満の人に加入義務のある国民年金(基礎年金)にさらにサラリーマンや公務員などが加入する厚生年金や共済年金が上乗せされています。
このため遺族年金も国民年金からの「遺族基礎年金」とサラリーマンであれば「遺族厚生年金」が支給されるしくみとなっており、それぞれ支給要件や受取れる遺族について違いがあります。

 
【図1】

クリックすると拡大表示します。
 

遺族年金の支給用件(どんな人が亡くなった場合に支給されるか)

◆遺族基礎年金
  1. 国民年金(基礎年金)の被保険者(保険料納付要件あり
  2. 被保険者であった者で60歳以上65歳未満の国内居住者(保険料納付要件あり
  3. 老齢基礎年金をもらっていたか、もらう資格を満たしている
◆遺族厚生年金
  1. 厚生年金保険の被保険者(保険料納付要件あり
  2. 厚生年金保険の被保険者でなくなっていても被保険者期間中に初めて医師などに受診し、その病気やケガでその日から5年以内に死亡した(保険料納付要件あり
  3. 1級・2級の障害厚生年金を受けていた
  4. 老齢厚生年金をもらっていたか、もらう資格を満たしている

*夫が死亡時に30歳未満であり養育する子のいない妻は、平成19年4月1日以後に遺族厚生年金を受取ることができた場合その受給期間は最長で5年間になります。

*保険料納付要件とは
障害年金と遺族年金は過去の保険料納付実績を問われる場合があります。
遺族年金の場合には死亡前日において死亡月の前々月までに国民年金(基礎年金)に加入すべき期間があると、その期間全体の3分の2は保険料を納付したかあるいは免除された期間がなければならないというのが原則です。
ただし特例も設けられており、この場合には65歳未満で死亡した人で、死亡月の前々月までの過去1年間に保険料滞納期間がなければよいともしています。
この特例は平成28年3月31日までに亡くなった場合としていますが過去にも10年間ごとにこの措置が延長されてきました。

【図2】
 
 

遺族年金が受給できる「遺族」の範囲

◆遺族基礎年金
死亡した当時に生計維持関係のある
「子のある妻」と「子」

*夫や「子」のいない妻は遺族基礎年金における遺族にはなりません。
ここで「子」になれるのは18歳になる年の年度末までか若しくは20歳未満の1・2級の障害等級にあり、現に婚姻していないことが要件です。

◆遺族厚生年金
死亡した当時に生計維持関係のある人で次の 1 から 4 への優先順位があります。

  1. 子のある妻・子・子のない妻・夫
    「子のある妻」と「子」には遺族基礎年金・「子のない妻」には中高齢の寡婦加算額も合わせて支給されます。
  2. 父母
  3. 祖父母

*子・孫は遺族基礎年金の「子」と同じ要件が必要です。
夫・父母・祖父母は加入者が死亡した当時に55歳以上になっていなければならず、また60歳まで年金は支給停止となります。
遺族基礎年金・遺族厚生年金ともに生計維持要件のある遺族には将来にわたり850万円以上の年収が得られない人が該当します。

<中高齢の寡婦加算額>
遺族基礎年金を受けられる妻は上記の通り年齢要件を満たす子がいなければなりません。
また妻が自分の老齢年金を受けられる前に子が成長したため年齢要件を満たさなくなって遺族基礎年金が支給されなくなることも考えられます。

そこで「遺族厚生年金を受ける妻が夫死亡時に40歳以上65歳未満であり子がいない」、または「40歳になった当時遺族基礎年金を受けることのできる子がいたがその後年齢要件を満たさずに受給できなくなった妻」に中高齢の寡婦加算額が支給されます。

中高齢の寡婦加算額…遺族基礎年金額の4分の3

中高齢の寡婦加算は65歳になると自分の老齢基礎年金を受けられるので打ち切りとなりますが、昭和31年4月1日以前生まれの妻は年金制度のしくみから今までより減額支給になってしまうため、その差額分を「経過的寡婦加算」として補われます。

 
【図3】
 

その他の遺族給付

◆寡婦年金
国民年金独自の給付で、国民年金第1号被保険者(自営業者など)として保険料納付済みか、あるいは免除される期間が合計25年以上ある夫が死亡した場合、その夫に生計を維持されていた次のような妻に原則60歳から65歳まで支給されます。
  1. 婚姻期間10年以上
  2. 妻の年齢は65歳未満
  3. 夫は障害基礎年金の受給権者でなく老齢基礎年金を受けたこともない
寡婦年金の額…「夫が受給できたであろう老齢基礎年金額の4分の3」

◆死亡一時金
老齢基礎年金や障害基礎年金の支給を受けたことがなく、死亡日の前日において死亡月の前月までの国民年金第1号被保険者としての
「保険料納付期間月数+保険料1/4免除期間の月数の3/4+保険料半額免除期間月数の1/2+保険料3/4免除期間月数の1/4」が36ヶ月以上ある者が死亡した場合
遺族に死亡一時金が支給されます。

ただし遺族基礎年金を受取る場合は、死亡一時金を受取ることができません。

<遺族の支給順位>
生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、
死亡一時金の額…「納付月数36月以上180月未満で12万円〜420月以上で最高32万円」となります。

*寡婦年金と死亡一時金の両方が受給できる場合には、どちらか一方を選択して受取ることになります。

 
以上、それぞれの遺族年金(給付)の特徴や支給条件について解説をしましたが、次回は具体的な年金の額や他の年金との組み合わせによる受け取り方などについてみていきます。
 
 

当資料で使用した図表は、社会保険庁等の資料等をもとにグローバルハートが作成しています。
ご質問は下記までお願い致します。

 株式会社グローバルハート  gheart@fine.ocn.ne.jp
 
 
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