2007/11/15 掲載
今回の『にっぽん・年金解体新書』では、前回に引き続き遺族年金についてお送りします。
具体的な事例をもとに「遺族年金はいくらもらえるのか」をお伝えして参ります。
 
 
社会保険労務士の西田です。
前回は遺族年金がどんな時に受けられるのかを遺族基礎年金と遺族厚生年金を中心にしてお話をさせてもらいました。
今回は具体的な事例をもとにしてどのくらいの遺族年金をもらうことができるのかを考えていきたいと思います。
なお受給できる年金額は平成19年度の額をもとにした大まかな目安とさせていただきますので、実際の個別年金額については所轄の社会保険事務所などにご照会下さい。
 
※まずは、前回号の『にっぽん・年金解体新書 第1回遺族年金』の遺族年金の概要をご覧ください。前回号はこちらからご覧いただけます。
 
●遺族基礎年金や遺族厚生年金の額はいくらなのか
 
前回号を振り返ってもらいたいと思いますが、亡くなった人の遺族が遺族年金の支給を受けられる状態であるとすると、その亡くなった人が自営業者等の場合には遺族基礎年金が支給されることになります。
 
◆遺族基礎年金の額
(受給できる人の範囲は前回号参照)
 
・子のある妻に支給される額は
 
 
・子のみに支給される場合の額(子1人あたり)
 
 
*子の加算額は1人目・2人目までそれぞれ227,900円、3人目以降は1人あたり75,900円です。
 

【事例1】
 ●2人の子のいる妻の場合の遺族基礎年金額

 

 注意したいこととして、年齢が上の子が年齢要件により受給資格を失うと遺族基礎年金は102万円となり、下の子も受給資格を失うといわゆる「子のいない妻」となって遺族基礎年金はもらえません。

・ただし、妻が60歳から65歳になるまでの間は国民年金独自の給付である「寡婦年金」を受給できることがあります。
寡婦年金の額は、夫がもらうはずだった国民年金第1号被保険者期間として計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

・遺族基礎年金を受けることはできないが、3年以上にわたり自営業等で国民年金の保険料を支払っていた方が亡くなった場合には、遺族へ「死亡一時金」が支給されます。
寡婦年金も受けることができるのであれば両者のうちどちらかを選択することになります。
死亡一時金の額は保険料を納付していた月数により36ヶ月以上納付で12万円〜最高420月以上納付で32万円になります。

 

◆遺族厚生年金の額
(受給できる人の範囲は 前回号 参照)

 遺族厚生年金を受給する人が「子のある妻」や「子」の場合は、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金が支給されることとなり、「子のない妻」や夫・父母などは遺族厚生年金が独自に支給されます。

 (−厚生年金に加入して亡くなった夫の遺族が「子のある妻」の場合−)


老齢厚生年金の報酬比例部分は、サラリーマン等の厚生年金加入者がその期間に受け取った給与をもとに平均化した月額相当に、一定の数値や加入月数を掛けて将来の年金額を算出したもので、定額部分あるいは老齢基礎年金として支給される加入期間ごとの定額支給と違い給与に比例して年金支給額が大きくなります。

 

【事例2】
 ●2人の子のいる妻の場合の遺族厚生年金額

 前提;亡くなった夫は厚生年金に25年間加入
(*仮に厚生年金加入が25年に満たない場合であっても
遺族厚生年金額を計算する際には25年加入したことにみなす措置があります)
その間の平均月額給与相当額を35万円とすると…

 

 事例1でも解説したように「子のない妻」には遺族基礎年金が支給されないため遺族厚生年金を受取っていた事例2のような妻が遺族基礎年金を受給できなくなると「中高齢の寡婦加算」を受取ることができます。
(※中高齢寡婦加算についても前回号参照)

 

【事例3】
 ●事例2と同じ条件の妻が60歳〜65歳未満で中高齢寡婦加算を受取った場合

 

 
◆他の年金との組み合わせ

 遺族厚生年金の事例でみてきたように、本来は「遺族厚生年金+遺族基礎年金」というように支給事由が同じ(遺族)場合にこれらの組み合わせができるのが原則でありますが、65歳以上になると事例3は中高齢寡婦加算に代わり自分の「老齢」基礎年金を受給することになります。
老齢基礎年金は加入期間により年金額がかわるので、たとえば65歳までに40年間年金加入したのであれば・・・

を合わせて受給できます。

 それではこれまでの事例のように遺族厚生年金を受けていた人などが、65歳以上で自分自身の老齢厚生年金も受給できる場合にはどうなるでしょうか。

●遺族厚生年金を受けていた人などが、65歳以上で自分自身の老齢厚生年金も受給できる場合

 <平成19年3月31日まで>は、下記の(1)から(3)いずれかの組み合わせを選択していました。
(1)老齢基礎年金+遺族厚生年金
(2)老齢基礎年金+老齢厚生年金
(3)老齢基礎年金+遺族厚生年金の3分の2+老齢厚生年金の2分の1

 

 <平成19年4月1日から>は、平成16年の年金制度改正により、従来の3つの組み合わせからの選択はできなくなり、原則、老齢厚生年金+老齢基礎年金となる(2)の組み合わせで支給されることになります。
受給額が遺族厚生年金の額より老齢厚生年金の額の方が少なくなる人の場合にはその差額も支給されます。

 

 

 (1)の遺族厚生年金+老齢基礎年金と支給額は同じようにみえますが、遺族年金が非課税であるのに対し老齢年金は課税対象の所得となることから考えますと、遺族厚生年金が老齢厚生年金に替わることにより実質の受給額は少なくなることもあります。

*平成19年4月1日においてすでに65歳以上の方で遺族厚生年金の受給権のある人は、従来の3つの組み合わせを選択することができます。

 また、今回の改正で65歳以上の人は障害基礎年金と遺族厚生年金の組み合わせもでも受給できるようになりました。

 今までの事例を一つの表にまとめてみます。

 

◆終わりに
遺族年金は残された家族の今後の生活を支えるための重要な機能を持っています。
受給要件や受給額はケースによって様々ではありますが、事前にこれらの知識を得ておくことにより、万一の場合には貯蓄や生命保険にもどれぐらい備えておけば安心かを考える目安になることでしょう。

 
 

当資料で使用した図表は、社会保険庁等の資料等をもとにグローバルハートが作成しています。
ご質問は下記までお願い致します。

 株式会社グローバルハート  gheart@fine.ocn.ne.jp
 
 
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